漢字クイズ(テーマ・地獄)結果

8月6日~10日の回答割合は次の通り(★が正解)。

無間地獄 むかんじごく 9% むけんじごく★ 79% むまじごく 13%
奪衣婆 だいばあ 11% だついば 22% だつえば★ 67%
冥官 えんかん 2% みょうかん★ 43% めいかん 55%
闇穴道 あんけつどう★ 63% ぎょうけつどう 27% やみあなみち 10%
牛頭馬頭 ぎゅうとうばとう 29% ごとうまとう 6% ごずめず★ 65%


 この週のテーマは「地獄」。

by dishhh
「地獄」という題の絵本が売れていること、ご存じでしょうか。書店の絵本コーナーに限らず入り口の目立つ位置に平積みにするところも少なくないようです。生々しい地獄の情景を描いたこの絵本、1980年発刊ですが、今年突然ちょっとしたブームになりました。

そのきっかけは東村アキコさんの「ママはテンパリスト」という子育て漫画で、子供にこの絵本を見せたらおびえて悪さをしなくなったということ。「いい子にしてないと地獄に落ちるよ」とこの絵本を見せることがしつけになるとテレビなどで取り上げられるようになり、人気に火がついたとか。東村アキコさんの作品はこの漢字クイズでも以前「海月」の解説で取り上げましたが、こんなに影響力を持った人とは知りませんでした。

絵本「地獄」にはこの週で取り上げた「牛頭馬頭」も「奪衣婆」も「無間地獄」も出てきます。奪衣婆のページあたりからかなり残酷な絵が続きます。ここに掲げた画像は「東京大仏」のある寺として知られる東京都板橋区・乗蓮寺の奪衣婆像です。庭にあるので気軽に拝観できます。

今回最も正解率が低かったのは「冥官」。「冥府」が「めいふ」だから「めいかん」と読みそうですが、実は「冥府」には「みょうふ」という読みもあります。それに対し「冥官」は「みょうかん」の読みしか見あたりませんでした。

なお「冥官」の解説で触れたのは芥川龍之介「地獄変」ですが、「平家物語」にも用例が見えます。「牛頭馬頭」「闇穴道」もそうですが、芥川作品と「平家」は地獄関連で共通項が多いようです。というより、地獄のイメージは昔から日本人に共通してあって、芥川作品ではたまたまそれが顕著に表れた結果、共通する言葉が多くなったというべきでしょう。芥川には「孤独地獄」という短編や「人生は地獄よりも地獄的である」という「侏儒の言葉」の一節もあります。なぜか地獄に引かれていたのです。

しかし、彼は地獄の描写の中で最も美しい場面をも提示しています。「杜子春」で、仙人になるため声を出すことを禁じられた主人公が、責め苦に苦しむ母親に思わず駆け寄り「お母さん」と叫んで涙を落とす場面。絵本「地獄」で子供をおびえさせてしつけるのもいいのですが、こういう心にしみる名作も読み聞かせてほしいですね。
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