「聖子ちゃん! 3度目の結婚、おめでとうございます! 4回目がない事を友達として心から願っております! 5回目ぐらいはオレとしようぜぇ~~!! ワイルドだろぉ~~!!!!」

松田聖子さんの結婚を受けた田原俊彦さんのブログです。芸能ニュースに取り上げられたのは主に「5回目ぐらいはオレと」の軽いノリの部分ですが、私がハッとしてグッときたのは「3度目」「4回目」の使い分けです。

というのも、結婚発表当日たまたま飯田朝子・中央大教授のお話を聞く機会があったからでした。飯田さんは「数え方の辞典」(小学館)などの著作がある、日本語の助数詞に詳しい方。そこで「回」と「度」の違いについて教わり、目からウロコが落ちる思いをしたのでした。

かいつまんでいうと「度」は繰り返しが期待されない数え方で、「回」は繰り返しが予測・期待される数え方ということです。「仏の顔も三度まで」はそれ以上はないので「度」、恒例イベントの「○回目」は何回も繰り返されるので「度」とはなりません。高校野球の甲子園出場など喜ばしいことも、繰り返しが期待されるので「回」が好まれるそうです。

そういえば、長年校閲をやっていながら「○回目の出場」などの原稿は数字にばかり気をとられて助数詞が「回」か「度」かは気にしたことが全くありませんでした。毎日新聞では確かに、統一はされていないものの「回」が断然多いようです。

結婚については、何度もあるものではないという意識から「3度目」というのが適切。事実、松田聖子さんの再々婚を伝える記事でも毎日新聞では「3度目」となっていました(ただし見出しは「再々婚」)。これに対し結婚記念日は毎年やってくるものですから「回目」。「『きょうは○度目の結婚記念日』なんて言うと『もうこれで終わり?』と受け取られるから気をつけた方がいいですよ」と飯田さんは冗談めかして笑いを誘いました。

田原俊彦さんのブログに戻ると、「3度目の結婚」はそれ以上がないことを期待、「4回目」「5回目ぐらい」は冗談で繰り返しを想定している文脈ですので、飯田さんの説にぴったり当てはまります。飯田さんの著書を読んでいるかのようです。そうでないとしても、本能的に使い分けているのならなおさら「トシちゃん侮り難し」と思ったのでした。
【岩佐義樹】

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