漢字クイズ(テーマ・海に浮かぶ物)結果

7月17~20日の回答割合は次の通り(★が正解)。


浮玉 うきぎょく 3% うきだま★ 79% ふぎょく 18%
海市 うないち 16% かいし★ 41% かいち 43%
椰子 かさご 1% みさご 0% やし★ 99%
海月 うみづき 5% くらげ★ 93% みる 3%  


この週は「海の日」に合わせ「海に浮かぶ物」をテーマにしました。

ただし「浮玉」を選んだのは海の日とは別のきっかけがありました。東日本大震災で流された漂流物が太平洋を越えて米国などに漂着するというニュースが流され始めた折、「うきだま」の表記をどうすべきかという議論が、マスコミの用語関係者の間で突如わき上がったのです。「浮き玉」「浮玉」「浮き球」「浮球」の4通り考えられます。このうち「球」を使うのは野球やサッカーで使われる語なので、流された漁具にはふさわしくありません。問題は送り仮名をつけるか否か。

日本新聞協会の「新聞用語集」では、送り仮名を付けない決まりの一つとして「語頭に『浮〈うき〉』の付く主として具象名詞」となっています。例示は「浮足、浮草、浮名、浮橋、浮袋、浮世」。これにならうと「うきだま」も「浮玉」もしなければならないのでしょう。しかし、送り仮名がないと「ふぎょく」と読まれないだろうか。こんな心配から今回の出題となったのです。結果は正解率80%近くですから悪くないのですが、「ふぎょく」と読まれる可能性も否定できないものとなりました。

ところで、海を越えてはるばる流れ着くというイメージで連想されるのが、島崎藤村の詩「椰子の実」です。「椰子」の問題は7月20日にアップされましたが、その翌日、次のような記事が毎日新聞愛知版に掲載されました。〈田原市の渥美半島観光ビューローが行っている「椰子(やし)の実投流事業」で、沖縄県石垣島から6月に流した椰子の実の一つが約1600キロの海路を旅し、渥美半島の海岸に漂着したことが分かった。25年間続け、2回目の渥美半島への漂着だという〉

もちろん偶然にすぎませんが、出題者としてはこのタイミングのよさに超自然的ななにかの配剤を感じずにはいられませんでした。

「海市」は今回最も正解率が低かった字です。「蜃気楼」だと全員読めるのではないかと思い、その別称にしてみました。ちなみに「海市」と同じ福永武彦の小説に「廃市(はいし)」があります。大林宣彦監督が映画にしています。

最後の「海月」。子供の名前で「海月(みつき)」ちゃんとかいうのを見かけたという報告がツイッターで寄せられました。漫画「海月姫」の主人公の名は「月海(つきみ)」ですが、確かに今時の子供には「海月(みつき)」ちゃんがいても不思議ではありません。ただ、漫画のようにクラゲおたくならいいのですが、気持ち悪いと思う子には、自分の名前が「くらげ」とも読むと分かるときを思うとかわいそうな名付けだと思います。

クラゲと漫画といえば、つげ義春さんの伝説の名作「ねじ式」が連想されます。「まさかこんな所にメメクラゲがいるとは」で始まる異様な雰囲気の漫画。この「メメクラゲ」は「××クラゲ」の誤植だったという有名な逸話があります。作者も「メメクラゲ」という正体不明の語が作品に合っていると後で認めたということです。単なる誤植で片付けられない、なにかの配剤がこの間違いを生んだのでしょうか。

――いえいえ、結果がどうあれ誤植は誤植。校閲者としては見逃さず退治しなければと思っております。はい。


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