ロンドン五輪が始まりました。ロンドンでの五輪は1908年、48年に続いて3回目。過去の大会記録を見ていて面白いものを見つけました。08年大会で初めて実施され、その後は行われていない競技に「ジュ・ド・ポーム(jeu de paume)」があります。テニスの原形のひとつともいわれ、ラケットではなく手のひらでボールを打ち合います。フランス語で、ジュ(jeu)は遊び・ゲーム、ポーム(paume)は手のひらを意味します。毎日新聞のデータベースを見ると、美術関係でいくつか記事があります。でも、スポーツと美術にどんな関係が? 

パリのチュイルリー公園内にジュ・ド・ポーム美術館はあります。もともとは19世紀半ばのナポレオン3世時代にジュ・ド・ポーム競技の屋内コートとして建てられたものですが、20世紀初頭に展覧会場として改装されました。その後、印象派の作品を多く収蔵する印象派美術館として知られましたが、1986年、それらの作品はオルセー美術館に移されました。その後の改装を経て91年、写真や映像などを集めた、現代アート美術館として現在に至っています。

用途が変わっても名称はジュ・ド・ポームのままのところが面白いのですが、過去の記事や、一般のネットの表記で、ブレに気が付きました。「ジュ・ド・ポム」というように、本来の発音からすると「ポーム」となるべきところが「ポム」と書かれたものが少なくありません。フランス語の発音とカタカナ表記の問題といってしまえばその通りですが、「ジュ・ド・ポム」ではリンゴジュース(jus de pomme=写真上)を連想してしまいます。

先日、パリを訪れた際、美術館を訪ねてみました=写真下(裏から見た美術館)。正面に回って入場し、館内のレストランか売店で、リンゴジュースでも飲んでみよう、「ジュ・ド・ポーム」で「ジュ・ド・ポム」を一杯、としゃれてみようと考えたのですが、訪れたその日は、残念ながら休館日! 計画性もなく、突然思い立ったので、なんともしまらない話でした。
【原田幸治郎】

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