漢字クイズ(テーマ・建物)結果


5月28日~6月1日の回答割合は次の通り(★が正解)。

いらか★ 89% おにがわら 8% しゃちほこ 3%
銀傘 ぎんがさ 17% ぎんさん★ 79% ぎんしゃり 4%
主屋 あるじや 14% しゅおく★ 69% しゅや 17%
鴟尾 しび★ 66% ていび 23% とうび 11%
屋上屋を架す おくじょうおくをかす★ 44% おくじょうやをかす 44% やがみやをかす 12%

この週のテーマは「建物」。

各週のテーマは偶然の重なりで決まることが多いのですが、この週もそうです。一つのきっかけは文化審議会の国宝・重要文化財指定答申の発表に難しそうな建物関連語が含まれていたこと。もう一つは、仕事の話で同僚が「屋上屋」を「おくじょうや」と言ったことです。すぐ訂正してあげるのが親切なのかもしれませんが、出題者は「いや、もしかしたらそういう読みもあるのかもしれないぞ」と思って、後で辞書で確認。そういう読みがなさそうだと分かっても本人に言わず、「これは建物のテーマにふさわしい」と漢字クイズに出したわけです。嫌な出題者ですね。


それはともかく、「おくじょうや」という誤答が正解と同数という結果には、同僚と同じ誤解をしている人の多さを思い知らされました。もしかしたらいずれ、その読みも辞書に載るかもしれません。

というのも、解説にも書いたように広辞苑で「屋上屋を重ねる」という表現を認めた事実があるからです。「毎日新聞用語集」をはじめ誤用を示す本では、多くの場合「屋上屋を重ねる」は間違いで「屋上屋を架す」に直すべきだとされています。しかし実は、大本の表現は「屋下に屋を架す」でした。出典は中国の「顔氏家訓」。日本でも長く「屋下に屋を架す」が使われていたそうです。「屋上屋を架す」が歴史も権威もある言い方でないのなら、そのバリエーションとして「屋上屋を重ねる」を認める立場だってありうるわけです。

表現にそういうぶれがあるなら、読みだって変わっていき、やがては「おくじょうや」という読みの方が多くなってそちらが正しいとされていく日が来ないとも限りません。それが望ましいと言っているわけではないし、校閲の仕事で「おくじょうや」なんてルビをふった原稿があればもちろん直します。ただ漢字には、「捏造」は本来「でつぞう」だったのに「ねつぞう」という「慣用読み」が辞書に載るなどの例が少なくありません。「おくじょうや」が将来そうならないとは誰も言えないと思います。それを日本語の変化ととらえるか、日本語の乱れと取るかは難しい。校閲の仕事はどちらかといえば保守的に規制する立場なのですが、辞書に先を越される形でいつのまにか容認されてしまうこともあるのです。

辞書といえば「しゅおく=主屋」や「銀傘」が辞書になかなか見いだせないことも今回の「発見」でした。新聞ではそれなりに出てくるのですが……。「辞書の言葉と新聞の言葉」には実は深い溝があるのかもしれません。
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