「スポーツとは数字である」

あるベテランの野球指導者に言われたことがあります。スポーツといえば、手に汗握る試合展開、選手の努力と活躍、全力プレーに感動し元気をもらう――。そんな「スポ根」イメージを抱いていた私には、少し意外でした。

データを練習や試合の駆け引きに活用すればこその実感かもしれません。新記録や、○年ぶり・○人目などといった過去との比較も重要なニュース。日々の仕事では、単なる数字ではなく、その価値を的確に表すよう、正確な記述になるようにあらゆる資料と照らし合わせて確かめています。

そして、この言葉は校閲記者としても感慨深いのです。「123」のアラビア数字と、「一二三」の漢数字。紙面では両者が非常に細かいルールで混在しています。次の一節は、とある野球の場面。皆さんならそれぞれどちらを用いますか。

「【7】回【1】死【2】塁で山田が左中間へ【2】塁打を放ち、勝ち越しの【5】点目を挙げた。救援の田中は【6】回を投げて【10】奪【3】振【1】失点の好投」

答えは、七▽1▽二▽二▽5▽6▽10▽三▽1。毎日新聞では、野球のイニング・ベース・塁打などに漢数字を使用します。違うルールの新聞・通信社もあり、新人時代は目を白黒させたものです。悩ましいのは野球だけではありません。相撲なら「三段目」、競泳は「100㍍自由形」、柔道では「60㌔級」など。選手・チームを、ナイン(9=野球)、イレブン(11=サッカー)、フィフティーン(15=ラグビー)と数で言い表すこともありますね。

表記ルールは、紙面上のさまざまな数字を読者が混同しないようにと決められました。ロンドン五輪でもたくさんの記録や感動が、数字を伴って登場することでしょう。わかりやすく見やすい紙面をお届けできるよう、校閲記者も手に汗(と赤ペンを)握って頑張りたいと思います。
【三股智子】

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