毎日新聞では実施していませんが、最近、中国人名の漢字表記にカタカナで現地音のルビをふる新聞が増えています。英語圏では中国の固有名詞を表す際、現地音にできるだけ近い形でアルファベット表記の英語にしています。中国人が国際的に活躍する機会が増えてきた昨今、世界(主に英語圏)でどのように呼ばれているかを知りたいという要望に応えて、カタカナのルビも増えてきたようです。各社とも地名は今のところルビの対象外ですが、そうできる理由は日中には漢字という共通項があるからのようです。


 中国は600年以上もの間、韓国ソウル市のことを漢城(中国音ではハンチョン)と呼んできました。しかし2005年1月、当時の李明博ソウル市長は、表記よりも音を重視して、漢字の表記を「首爾(ショウアール)」と改めるよう中国側に申し入れました。早くも翌月には一部メディアが「首爾(漢城)」と併記を始め、中国政府も10月、ソウル市の主張を認める通知を出しました。その後、徐々に町から「漢城」という表記は消えていきました。当時の北京特派員によると、中韓の政治的距離が近づきつつある時期だったという事情が影響したようですが、大きな混乱もなく市民に定着していったということです。

 「首爾」の「首」は首都の首であり、また「一番」といった意味合いもありますが、「爾」はあくまで音重視の選択で意味はなく、「首爾」といっても私たち日本人には韓国やソウルを想起させるものではありません。逆に「北京」を韓国語読みで「プッキョン」と呼んでいた韓国ですが、今では中国の現地音を尊重して「ベイジン」と呼んでいるようです。漢字を日常的に使わなくなった韓国の人々には、漢字の意味よりも音の違いの方が気になるポイントなのかもしれませんね。【戸松紅花】
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