締め切り間際の忙しい時間帯。資料にあたる余裕もなく、誤字脱字などをチェックして、そのまま通した原稿の中に「母国ギアナ」といった表現がありました。職場内で「ギアナという国はないですよ」と声が上がり、調べてみると、南米大陸の北部に仏領ギアナ(正式にはフランスの海外県)はありますが、確かにギアナと呼ばれる独立国はありません。出稿元に尋ねると、「すみません、西アフリカのギニアの間違いでした」。

 中南米やアフリカは、混同しやすい要注意の国名・地名が少なくありません。中南米ならば、どちらもカリブ海にある「ドミニカ共和国」と「ドミニカ」、アフリカでは「コンゴ共和国」と隣の「コンゴ民主共和国(旧ザイール)」が要注意です。

 南米の「ギアナ」とアフリカの「ギニア」も、それぞれの大陸で注意が必要な地名です。南米大陸の北部には雄大な風景で知られるギアナ(Guiana)高地が広がり、ベネズエラやブラジルにも及んでいます。ベネズエラの東隣の国がガイアナ(Guyana)、その一つ置いて隣が仏領ギアナです。

 アフリカに目を転じると、アフリカ大陸の西部では、赤道に向かってギニア(Guinea)湾が広がり、そこからさらに北西の外れに「ギニア」「ギニアビサウ」、ギニア湾の東端に「赤道ギニア」といった国々があります。

 それぞれの大陸の中でも紛らわしい国名ですが、いよいよ大陸を超えて混同するケースもでてくるようになると、「南国を思わせる音の響きに幻惑された」などといってはいられません。残念ながら、どちらも日本からは「遠くて遠い地域」というのが実情なのかもしれません。まずは間違わないように、「南米はギアナ」「アフリカはギニア」と心の中で唱えてみようかと思っております。
【中高正博】

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