1955年から2005年まで、日本に同名の市は府中(東京都、広島県)があるだけでした。06年1月1日、合併で福島県に伊達市が誕生したことにより、伊達が二つ目の同名の市になりました。もう一つの伊達市は北海道にあり、72年に市制を施行しています。

 福島県伊達市は、政府が推進した平成の大合併のなかで福島県伊達郡の5町が合併して誕生しました。この時期に合併を行い、新たに市の名称を決める必要があった自治体では、既存の市名は使わない方針のところがほとんどだったようです。これは70年に自治省(現総務省)が「既存の市の名称と同一となり、または類似することとならないよう十分配慮する」よう通達を出していたためと考えられますが、現在の総務省の考えは「既存の市から異議が出ず、地理的に離れていれば異議を出すつもりはない」と変わっています。

 福島県伊達市も当初、合併協議で既存の市名は新市名の候補にしないと決めていました。しかし住民から新市名を公募したところ「伊達市」が根強い支持を集めたため、北海道伊達市の意向を確認しました。北海道伊達市は周辺町村と進めていた合併協議で、合併後の新市名に既存の名称を使わないことを決めていたので、「伊達市」の名称を使うことを了承したそうです。ところがその後、北海道伊達市の合併の枠組みが変わったため市名は伊達のままとなり、二つの伊達市が存在することになりました。

 北海道伊達市で合併の枠組みが変わった理由の一つは、合併後の市名が伊達でなくなることに反対する住民の署名活動があったためだそうです。合併の枠組みを変えてしまうくらい、慣れ親しんだ地名への愛着は強いのですね。【新野信】
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